最終更新: 2008/08/30 15:25

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Inside America

アメリカ政治報告

(This report is also available in its original English version.)

ジョージ・パッカード氏

ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長

1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。

パッカード・レポート 2003年4月

ひそかに繰り広げられていた米国務省対国防省(コーリン・パウエル対ドナルド・ラムズフェルド?)のゲリラ紛争が公になり、どちらかがブッシュ政権を辞めざるを得ない可能性が浮上した。

今のところ、パウエルの座は安定している。北朝鮮との協議案および中東問題の平和的解決を目差す「ロード・マップ」でブッシュの支持を得ている。

しかし、ラムズフェルドとポール・ウォルフォウィッツは、イラク戦争の比較的早い収束を受け、勝利を盾に、後衛の動きを妨げようとしている。例えば、ブッシュとコンドリーザ・ライス国家安全保障補佐官が5人で結成されるチームを北京の3者協議に送ることを決定してから、ケリー国務副長官を代表の座から下ろそうとし、代わりにタカ派で、ジェシー・ヘルムズの元愛(まな)弟子でもあり、北朝鮮との関与政策を支持しないジョン・ボルトン国務次官の起用を求めた。

土壇場になって、ホワイトハウスがパウエル側につき、ケリーがアメリカ側の代表として北京入りした。しかし、5人のメンバーのうち、国務省から選ばれたのはわずか2人。国務省から1人、国家安全保障会議のスタッフが1人、そして国防総省から2人と非常にバランスがとれていて、国防総省代表の2人は裏のルートでラムズフェルドに報告をしていた。

今週も争いは続く。ラムズフェルド側は、北朝鮮に対し妥協を一切せず、核開発を放棄しなければ軍事的措置をとるべきだと主張する。

また、ラムズフェルドとウォルフォウィッツは、イラクの戦後復興を国連と米国務省に任せず、自らに従うイラク人勢力を暫定政府に投入しようとしている。

事情にくわしい人は、外交問題に首を突っ込む権利がない国防総省のこうした態度をパウエルがいつまで我慢するかに注目している。パウエルが抗議の意を表し、辞任を提出し、2004年に自ら大統領に立候補する可能性についてささやく人も少なくない。圧倒的な支持を獲得するのは間違いない。今現在の支持率もブッシュ大統領やラムズフェルドを上回っている。

反対にこのような事態には発展しないという人もいる。なぜなら、ブッシュはまさしく国民的なヒーローであるパウエルを失った場合、政権に与えるダメージを十分に理解している。彼らによると、いずれラムズフェルドが度を越え、ブッシュが辞任を求める。

こうした中、元下院議長のニュート・ギングリッチが「ネオコン」の温床とも言えるAEI(アメリカン・エンタープライズ、公共政策問題研究所)で衝撃的なスピーチをした。演説の中で、ギングリッチは外交政策の失敗を指摘し、パウエル及び国務省、さらにホワイトハウスまで批判した。ギングリッチがラムズフェルドの強い味方であることから、国防総省の入れ知恵があったのではないかと推測する人も多かった。翌日、ホワイトハウスがギングリッチに電話で忠告をし、その後、ギングリッチはいつになく口を閉ざしている。

北朝鮮問題の専門家は、ピョンヤンが核保有を認めたあとも、平和的解決の可能性にある程度期待できると思っている。彼らによると、北朝鮮は「取引モード」に入った。イラク戦争を目の当たりにし、核を手放せないと確信したようだ。しかし、専門家によると、軍事力を行使しないという確約をアメリカから得て、なおかつ食料、燃料及び現金をアメリカ、日本、中国やロシアから提供してもらえれば、核開発を断念する可能性もある。

ここで日本が重要な役割を担える。小泉首相が何らかの方法で拉致(らち)問題を乗り越えられれば、金正日との交渉で日本も中心的な役割を果たせる。3者協議の行方に不満を抱いている中国としては、日本の役割拡大を歓迎するだろう。果たしてどうなるか?

−ジョージ・パッカード

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