ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長
1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。
パッカード・レポート 2004年9月
昨夜(9月2日)で共和党大会が終わり、次の60日間、政治レースは新たに決定的な局面を迎えることとなる。これはアメリカ史上、最もシビアで錯綜(さくそう)した選挙戦の1つとなるだろう。ジョージ・ブッシュはおそらく勝利する。
もっとも、そこへ行き着くまでに、いくつか注目すべき状況が起こると考えられる。9月30日、10月8日、13日に予定されている大統領候補討論会はみんなが注目するだろうし、これによって気持ちを変える人も何人かいるかもしれない。新しいテロの動きだってあるかもしれない。しかし、ここに来てジョン・ケリー上院議員にホワイトハウスの席に座れる勝算があるかどうかは怪しい。ブッシュはテロ問題を突きつめたのだ。
ブッシュと彼の参謀たちは、福音派キリスト教徒や正統派ユダヤ教徒を含む宗教右派を取り込んで彼らに加勢したし、防衛や警備、安全問題と取り組んできた。経済も悪化しているわけじゃないし、昨日発表された最新データによれば、失業率だって減少している。世界に対する無知をさらしてきたにもかかわらず、ブッシュはアメリカのお茶の間に、率直で、誠実で、頼れる奴だと映ったのだ。
一方で、ジョン・ケリーは、キャンペーン中およそでき得る限りすべての間違いを犯した。今週、共和党支持者がニューヨークに集合していた時、ケリーはナンタケット島でウィンドサーフィンなんかしている姿をカメラに撮られているのだ。とびきりの金持ちだけが夏を過ごすことのできるこの場所で、金持ちのスポーツに興じていたというわけだ。
民主党の彼の相談役たちまでもが、自分たちが選んだこの候補者のパンチの効かないコメントや、煮え切らない態度に意気消沈してしまっている。連中はもちろん、これから彼の物腰や弁舌に手をいれ、たたき上げるはずだ。でも、はっきり言えるのは、ボストンの民主党大会でブッシュをたたかなかったケリーの作戦は、とんでもない間違いだったということだ。今週、共和党は、辛らつなケリー攻撃を繰り広げ続けた。来週の世論調査で、ブッシュへの票がいきなり伸びていたって不思議じゃないのだ。
1つ注目していてもらいたいことがある。重要機密文書がイスラエルに流れた疑いがあるので、FBIがペンタゴンの高官を対象に調査を行っている。ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官とダグラス・ファイス国防次官がイスラエルにやたら同情的なのはワシントンでは誰もが知っている。そして、イスラエルの情報機関がイランの核開発計画の動向を非常に気にかけているのも周知の事実だ。最近、その漏れた文書がイラクの政治屋で、かつイラク戦開戦当時のペンタゴンのお気に入り、アハマド・チャラビにも流されていたらしいとのすっぱ抜きがあった。イスラエル擁護派であるリチャード・パールとウォルフォウィッツの2人が、90年代を通し、チャラビを強く支援し続けていたことは広く知られている。
これは物騒だ。なぜって、アメリカの主だったメディア系列会社の多くを所有したり、これに影響を与えたりしているのはユダヤ人実業家たちだからだ。アメリカの高官たちが、自国とイスラエルの国益の区別がつかないなんてほのめかしたが最後、“反ユダヤ”の抗議の声が上がり、選挙キャンペーンは大変なことになるだろう(ちなみに、最近、ケリーは父方の祖父母がユダヤ人であることを明かしたのだけれど)。
最後に、ブッシュ政権第2期の外交政策チームがどんなふうになるのかが少しずつ見えてきている。コリン・パウエルは、ほぼ確実に引退し(彼は共和党大会に姿を見せもしなかった)、コンドリーザ・ライスがきっと後釜に座る。彼女は、ジェームス・ケリーの引き継ぎとして、たぶんお抱えの筆頭アジア問題副官マイケル・グリーン(日本と韓国についての専門家だ)を国務省に連れてくるだろう。そして、ライスの国家安全保障会議補佐官であるスティーブン・ハドリーが彼女の後任になると考えられる。ラムズフェルドに関しては謎である(もっとも彼はしばらく居座るんじゃないかとは思っているのだが...)。ウォルフォウィッツはイラク問題で不興を買ったので、きっといなくなるだろう。
−ジョージ・パッカード
- 日本語 バージョン アーカイブ -
2008/
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2007/
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 | 11月 |
12月
2006/ 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 | 8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月
2005/ 1月 |
2月 |
3月 |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2004/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
9月 | 10月 |
11月 | 12月
2003/ 1月 |
2月 | 3月 |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
9月 | 10月 | 11月 |
12月
1999/ 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
1998/
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 | 7月 |
8月 |
9月 |
10&11月 |
12月