最終更新: 2008/08/20 11:44

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Inside America

アメリカ政治報告

(This report is also available in its original English version.)

ジョージ・パッカード氏

ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長

1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。

大統領選後の動静 2004年11月8日

2004年選挙での共和党の勝利から1週間、今ちまたで一番注目されているのがワシントン当局だ。誰が「入って」、誰が「出る」のか。ブッシュ大統領はこれからの4年間で、この国をどこへ引っ張っていくのか。

関係者にとっては、ブッシュが、パパの得意とした「より親切で優しい」外交政策に立ち返るのか、それとも一般投票350万票のリードを強みにその単独的強硬姿勢を強め、さらに貫いていくのかが最も重要な問題となる。私の予想では、彼はさらにシビアな路線で行くだろう。ただ、北朝鮮やイランといったいくつかの事柄については妥協せざるを得ないかもしれない。ここで鍵となるのはコリン・パウエル国務長官とドナルド・ラムズフェルド国防長官の動きだろう。パウエルは、ブッシュの任期1期目終了後に辞めるとずっとうわさされてきたけれど、私は彼は6カ月か1年くらいは残るのではないかと思う。その理由はこうだ。
  • 彼の最大のライバル、ラムズフェルドの暴走を食い止めるため。
  • アラファトが去りつつある今、イスラエル、パレスチナ間の協議を迅速に始めるため。
  • 北朝鮮を6カ国協議に参加させるという自らの方針を継続するため。
すべての目がラムズフェルドに注がれている。彼を50年かそこら知っている私としては、少なくとも彼はあと1年くらいは残りたいのではないかと思う。できればイラク戦を勝利という形で決着させたいし、ペンタゴン内の手直しも手がけたい。「ラミー」は仕事を途中で放り出したり、負けを認めるような奴じゃないし、ブッシュはすぐにほかの適当な候補が見つからないということを主な理由に彼をとどめておくのではないかと思われる。
コンドリーザ・ライスは国防長官になりたがっているが、彼女はとても適格者とはいえないから、上院での承認公聴会でやっかいなことになるかもしれない。

ライスは、友人たちに辞めたいと話している。となると彼女のポジションがスティーブン・ハドリーかポール・ウォルフォウィッツ、あるいはジョン・ボルトンに与えられるかもしれない。このうちの誰が取って代わっても「大惨事」となるだろう。彼らはみなガチガチの「ネオコン」で、ボルトンは北朝鮮の政権交代を熱望している。最良の選択は、ライスがしばらく残り、パウエルが国務省を最終的に引退してから後を引き継ぐことだろう。

東アジアの専門家として、リッチ・アーミテージ国務副長官と東アジア担当のジム・ケリー国務次官補はパウエルがいる限り残るよう説得されるだろうが、彼が去ってしまえばそれまでだ。マイケル・グリーン博士は打診されているジョージタウン大学のポストを受けるかどうか思案中だが、とびきりの昇進をもらって残る可能性もある。 国家安全保障会議の大物、ロバート・ジョセフは確実に辞める。
これまでのところ、着任で確かなのは、大統領主席補佐官のアンドリュー・カードが残留することだけである。彼は、日本にとってはやりにくい相手だ。日本からの輸入車がデトロイトを駆逐していた80年代に、全米自動車製造協会のトップを務めていたのだから。

今週、イギリスのトニー・ブレア首相がワシントンを2日間訪問する(11月11、12日)。
ブッシュは彼に大きな借りがある。ブレアはイスラエル‐パレスチナ紛争への新たな交渉へ向けて後押しをするはずだし、切迫しているアラファトの死に加え、パウエルがこの件での永続的勝利を勝ち得る意欲を見せていることも、大統領を(紛争解決への)再度の挑戦へと駆り立てるだろう。

すべての目がファルージャに注がれている。ここで、アメリカによるイラク占領へのし烈な戦いが繰り広げられているのだ。ほとんどの人が、ここでアメリカとイラクの親米派がはっきりとした勝利を飾ることができなければ、1月に予定されている選挙もどうなるかわからないし、この泥沼状態はさらに深まるだろうと見ている。

ブッシュは、ほかにも大きな問題を抱えている。135,000人の米兵がイラクに派遣されていて、さらなる人員が必要とされていることで、他の地域での軍事力はかなり制限されてしまっている。イランが核兵器を入手しようとしていること、ダルフールでの大量虐殺やアルカイダとの戦いなどはみな彼が抱える課題の筆頭である。 国内では別の問題も生じてきている。ウィリアム・バックリーやパット・ブキャナンを含む多くの共和党保守系右派がイラク戦と積み重なる赤字に不満を抱いている。これが今に表面化してくるだろう。実際ニクソンの共和党アドバイザーだったブキャナンはケリーを大統領にと支持したのだ!

最後に、いくつかのスキャンダルがいつ飛び出してもおかしくない状態にある。
  • CIA工作員、バレリー・プレイム暴露に関する調査は、ホワイトハウスの高官が罪に問われる形で終わりに近づいていると言われている。
  • イラク戦争が始まる前、戦争を正当化するために証拠として提示された大量破壊兵器などに関する不正確な情報が誤って利用されたことに対する捜査がじきに終局を迎える。
  • 機密情報がどうやって、イスラエル、イラン、そして台湾の情報部員の手に渡ったかについてのFBIの調査。
勝利で決着をつけようとしているまさにこの時、こんな問題が噴出するのは共和党にとってありがたいことじゃないのだ。

アメリカの歴史は、2期目を決定的勝利で飾ったあと、行き過ぎて次に敗れるという政権の前例に満ちている。問題は、ブッシュが後世に確かなものを残そうとするのか、それとも自身が考える神の仕事を自分流で行うことにより興味を持っているのかだ。私は後者に違いないと思う。

−ジョージ・パッカード

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