最終更新: 2008/12/05 21:22

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Inside America

アメリカ政治報告

(This report is also available in its original English version.)

ジョージ・パッカード氏

ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長

1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。

ワシントンリポート Apr. 2006

とんでもない記事が今、ワシントンとニューヨークのジャーナリストたちの平穏な世界を揺さぶっている。ハーバード大とシカゴ大の2人の権威ある学者たちによって書かれた「イスラエルのロビー(政治圧力団体)とアメリカ外交政策」と題された報告書である。

筆者の2人は、ハーバード・ケネディスクール(ケネディ行政大学院)の学部長であるスティーブン・M・ウォルトと、シカゴ大学政治学部教授ジョン・J ・ミアシャイマーである。2人ともユダヤ人ではない。彼らは、81ページにわたって出典や脚注が細かく記されたその論説の中で、イスラエルのロビー活動とブッシュ政権のネオコン連中が、どのようにしてアメリカをイラク戦へと突入させたのかを述べている。彼らの主張はすこぶる物騒だ。

これまでアメリカの主流メディアのほとんどがこの話題について、尻込みしてきた。この種の非難が、世間では周知の事実とされてきたのにもかかわらず、である。記者や編集者たちがこの問題に関りたくないのは、そうすることによって、単純に反ユダヤ主義の烙印(らくいん)を押されてしまい、それで自らのキャリアが台なしになってしまうからである。政府高官の多くが、これまで長きにわたって、個人レベルでこの種の告発が真実であると認めてきてはいたものの、すぐにこうつけ足したものだった。「そんなことは言えないよ。だって、イスラエル支持派のメディアにつぶされてしまうもの!」

ウォルトとミアシャイマーは、出版社を探すのに苦労したようである。この記事は、はじめにロンドンの『タイムズ文芸付録』に掲載され、続いて「社会科学研究情報ネットワーク Social Science Research Network (SSRN)」のウェブサイトに載った。記事はここからダウンロードできる: (http://ssrn.com/abstract=891198)

今のところ、ニューヨーク・タイムズはこの報告書を完全に無視している。ワシントン・ポストは、3月26日付で一部抜粋を“Outlook”だか、社説だかの部分に掲載したが、アメリカ・ナチの指導者であるデービッド・デュークの好意的コメントを引用しながら小ばかにするという妙な形での取り扱いだった。マービン・カルブやアラン・ダーショウィッツといった親イスラエル派の著名人のうちの何人かは、ハーバード大に記事の取り消しを求めている。

大学側は、紙面から“ハーバード”と“ケネディースクール”の名前を削除し、「(本論考で)述べられているのは著者の見解であり、必ずしも、ケネディースクールやハーバード大学の見解を反映したものではない」と注釈をつけることで対処した。

以下に, その刺激的な内容の一部を紹介しよう。
  • アメリカの中東政策が全体的にゴリ押しなのは、“イスラエルロビー団体”がけしかけているせいである。

  • イラク侵攻に端を発する、ブッシュ政権の中東変革作戦の狙いの少なくとも一部は、イスラエルの政治的立場を向上させることにある。

  • アメリカがこれほどのテロ問題を抱えているのは、イスラエルと親密に連携しているからで、その逆ではない。

  • イスラエルが核を保有していることが、近隣諸国が核兵器を欲しがる理由にもなっている。

  • イスラエルはアメリカをスパイしている。同盟国としてのその戦略的価値に、さらなる疑いがかかっている。

  • イスラエルは自由民主主義国ではない。そのふるまいは、自らが反目している国々の行動規範と比べ、道徳的に大差はない。

  • 親イスラエル圧力団体の中でも最も力のあるAIPAC(米イスラエル政治行動委員会)が、自分たちに同調する議員候補連中には見返りを与えるが、異を唱えるものはこらしめるといったことをしている。

  • ブッシュ政権で、イスラエルに常に有利になるような政策を推し進めた連中の中には、ポール・ウォルフォウィッツ、リチャード・パール、ダグラス・フェイス、それから(ルイス)・“スクーター”・リビーなどがいる。

  • ロビー団体は自らの権力に思い上がっており、誰かがそれを指摘すると攻撃する。この戦術は非常に効果的である。なぜならば、反ユダヤは、忌むべきものだし、それによって非難されたいなんて人間は誰もいないからだ。
もっともっと過激な内容が続く。これから問題になってくるのは、これが主流メディアまで浸透していくのかどうか、だとしたらそれはいつのことなのかという部分だ。引き続き注目していてほしい。

−ジョージ・パッカード

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