最終更新: 2008/10/13 00:30

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Inside America

アメリカ政治報告

(This report is also available in its original English version.)

ジョージ・パッカード氏

ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長

1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。

ワシントンリポート Jun. 2006

司法長官の動機ははっきりしないが、どうやら良き共和党員としての行いだと考えていたふしがある。民主党員の犯罪行為を捕らえることによって、アブラモフ・スキャンダル - 共和党の事件だ - に対する国民の怒りをそぎ、共和党員も民主党員もみな、しょせん同じようなことをやっているのだとの見方を広めて、有権者の怒りを共和党だけでなく政治家一般に向けることで、11月7日の選挙に臨もうということだったのだろう。

袖の下を受け取ったか、さらにはもっと悪いことをしでかしたかどで、ジェファーソンが罪に問われるのは確実だとされている。FBIは、彼の自宅の冷凍庫に隠された印のついた100ドル札計9万ドル(注:日本円で約1,000万円分)を発見したのである!

しかし、ゴンザレス司法長官は、権力分立の不可侵性、つまり立法府、行政府、司法府がそれぞれ同等であるとの憲法原則に対するアメリカ国民の信仰を計算に入れていなかった。もしもFBI(行政)が、いつでも議員たちの事務所を強制捜査できるなら、行政によるこの原則の侵犯であり、自分たちが立法府よりも力があると考えていることとなるからだ。
デニー・ハスタート下院議長とジョン・ベイナー下院院内総務(共に共和党)はすぐさま、この危険に気づき、激しく司法省に詰め寄った。自分たちも含めた共和党員たちが民主党員であるジェファーソンの犯罪行為発覚に喜ぶ一方で、2人は行政府が力を不法行使して、憲法に新たに危険な解釈を与えようとしているという、もっと大きな危機に目を向けたのだ。下院のほとんどの共和党員はこれに同調した。

強制捜査から数日して、ブッシュは折れた。ヘッドライトに照らされ固まってしまった鹿のような具合で、45日の間、押収したジェファーソンのファイルを封印する命令を出したのだ。平穏に問題を解決するための時間稼ぎである。

今ブッシュは予想外の苦境に陥っており、安易な妥結策は見つからないように思われる。ファイルは司法省によって調査されるか、返却されるかである。もし調査され、犯罪行為が立証されれば、司法はジェファーソンを起訴しなければならない。もしブッシュがハスタートの圧力に屈してファイルを返せば、彼は今よりもっと弱腰に映るだろう。誰かの顔がつぶれるのだ。もしファイルが未開封のまま連邦議会に返却されれば、司法省のトップ官僚2人、ゴンザレスとマクナルティーと、FBI長官のロバート・ミューラーが辞任するのではないかといううわさがまことしやかにささやかれている。これは、ブッシュが彼らの犯罪捜査力の権限を直接に否定したということになる。

そうなれば、7月10日の週までに、誰かが退かねばならないような状況になるだろう。ビル・フリスト上院院内総務(共和党・テネシー州選出)は週末、ジェファーソン事務所への捜査については“別にかまわない”と語った。ちなみに彼は、人気度も、大統領になる可能性もますます低くなっている人物である。

けれども、ハスタートと彼の共和党連合は引き下がる気配を見せていない。加えて国中で下がり続ける人気と、イラク、アフガニスタンからの悪いニュース、高騰するガソリンの値段は端的にブッシュにとっての試練となるだろう。

今現在わからないのは、自分たちの配下の司法長官がこの強制捜査を実施することを、果たしてブッシュとチェイニーが知っていて、事前に許可を与えたのかどうかということだ。現時点では、ブッシュは計画について知らなかったと考えられる。事前にわかっていたとしたら、鋭い政治的勘を働かせるカール・ローブが捜査を止めるよう、ブッシュに警告していたはずだからだ。この話は、官僚たちが証拠隠滅を図ろうとすると秘密が漏れるという一例である。ブッシュは妥協策をどのように見つけ出せるのだろうか? 目が離せない。

−ジョージ・パッカード

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