最終更新: 2008/08/30 20:54

スーパーニュースニュースJAPANスピークスーパーニュース WEEKEND報道2001

Inside America

アメリカ政治報告

(This report is also available in its original English version.)

ジョージ・パッカード氏

ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長

1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。

ワシントンリポート Aug. 2007

先週日曜日の自民党惨敗に関する話題は、ワシントンでは、封じられたか、あるいは、もともと存在しなかった。1つに、外交専門家のほとんどが、その時間と関心をイラク戦の状況展開に注いでいることが理由として挙げられる。また一方で、ここでは、安倍氏は、強烈な存在感を示した、先の小泉 純一郎首相と全く対照的に、パッとしない間抜けな「へなちょこ」だと見られていることもある。彼が首相の座を退こうがどうしようが、アメリカ国民にとっては、どうでもいいことなのだ。

思い返せば、安倍のワシントン訪問は、成功からは、ほど遠いものだった。長く尾を引いている慰安婦問題に加え、一連の会談が、キャンプ・デービッドでほとんど秘密裏に行われたことで、一般大衆の安倍の印象は薄いままとなったし、多くの親日家の反感を買った。

安倍辞任を強く推す声はない。それは主に、彼の後任をどうするのか誰にも見当がつかないことによる。麻生太郎は、大方から安倍よりも役不足の“軽量級”と見なされているのだ。

米民主党内では、日本に対する新しい構想が芽吹きはじめている。長い間(正確には1953年からだ)、アメリカ政府は、日本に圧力をかけ、もっと軍事力を強めて、アメリカの国家戦略と密に連携するよう促してきた。集団自衛権を認め、憲法を改正して9条を改め、ミサイル防衛に加わって海外派兵を行うよう要求してきたのだ。

民主党首脳部の新たな考え方とは、日本との軍事提携の強化は、単に中国を脅かすだけであり、結果として、今よりもっと緊迫した軍事競争をもたらすことになるのではないかというものだ。さらには、インドとオーストラリアをいわゆる“自由の弧”と呼ばれるものに仲間入りさせる意味が、いったいどこにあるのかと首をかしげる人々もいる。また、中国からの独立を願う台湾首脳部と日本との密接なつながりに懸念をおぼえる向きもある。

もし、共和党がホワイトハウスと上院を支配下に置き続ければ、こういったことは、どれも問題にはならないだろう。しかし、ひとたびヒラリー・クリントンやジョン・エドワーズ、バラク・オバマが勝利を収めれば、日米安全保障条約に対するワシントンの考え方が大きく変わる可能性も出てくる。

きのうは、もう1つ別の動きもあった。 “慰安婦が被った屈辱”に対して日本の謝罪を求めるマイク・ホンダが提出した決議案が発声採決により可決されたのだ。採決結果は、本日付ニューヨーク・タイムズの7ページ目にたった1段載っただけだった。つまり、これが強制力を持たない、ほとんど意味のないものだったということだ。今のところは、日本政府はこれを無視して、今後何らかの機会があった時に、1993年の河野談話を再確認する姿勢をとった方が賢明だろう。

さて、もっとましなニュースにいってみよう。7月16日から1週間行われた18代目中村勘三郎一座のニューヨーク公演が大成功を収めた。ニューヨーク・タイムズの批評家チャールズ・イシャウッドが「法界坊」のパフォーマンスを「くらくらするほど複雑に入り組んだコメディー」と手放しで褒めちぎったが、こんなことは滅多にないのだ。客席のニューヨーカーたちは、幕が上がってから下りるまでの間、我を忘れて舞台に夢中になったのだった。

極めて多くのアメリカ人が日本に好感を持っていることは間違いない。外務省の調査によれば、アメリカの91%の知識層と74%の一般大衆が、日本は信頼できる同盟国だと考えている。しかしどちらの政党からであれ、かつての中曽根や小泉のような、こちらで認められ、なおかつ一目置かれる指導者が現れるのは、まだ先のことになりそうだ。

−ジョージ・パッカード

- 日本語 バージョン アーカイブ -

2008/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2007/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2006/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2005/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2004/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
2003/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
1999/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月
1998/ 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10&11月 | 12月