ジョージ・パッカード氏略歴
国際大学学長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授、
アジア財団理事、日米財団会長
1956年駐留米軍少尉の時、初来日。東京大学社会科学研究所に留学。63〜65年ライシャワー駐日米大使の特別補佐官。79年からワシントンのジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学長を務める。94年4月新潟県南魚沼郡大和町の国際大学学長に就任。98年3月日米財団の会長に就任。米国を代表する知日派の1人。
ワシントンリポート Mar. 2008
きょう知ったことなのだが、わたしの友人 - 82歳。未亡人。筋金入りの共和党支持者だがオハイオに向かうという。これから3日間、なんとバラク・オバマのキャンペーンに参加するのだそうだ!!
ことしの選挙は往々にしてこんな感じで、驚くことばかりだ。これからもっとそうなるのだろう。
ジョージ・ウィルは、故ウィリアム・バックリーのあとを引き継いで、アメリカ保守派知識層の声を代表すると目されているコラムニスト。その彼がオバマに好意的な記事を書いており、一方、ジョン・マケインについては、ロビイストとの関係がうそくさいとして批判している。
ダニエル・イノウエ上院議員と並ぶ最も著名な日系アメリカ人リーダーの1人、ノーマン・ミネタは今週、オバマ支持を表明した。彼は、ビル・クリントンの閣僚であり、ヒラリー支持が見込まれていたのだった。
アフリカ系アメリカ人の上院議員が、民主党の白人男性陣の支持を受けて絶好調の波に乗っているという事実だけでも特筆すべきだが、これは、アメリカが、ジョージ・ブッシュの8年間のあと、いかに大きな変化を求めているかを物語っている。そして、外交政策などではなく、オバマの大統領就任こそが、その変化を実現してくれるように思われるのだ。
オバマとマケインの政策案の違いに関しては、鍵となる次の2点が早くから挙げられている。すなわち、イラク戦と、敵対国の指導者との会談についてだ。
イラクについて、マケインは、必要であれば、アメリカは100年でもイラクにとどまるべきだと主張している。オバマは、ホワイトハウスに入ってから4カ月目には、イラクからの米軍引き上げを開始したいとの立場をとる。ベトナム戦争の英雄マケインは、現時点では国家安全保障問題について、オバマより重点を置いており、彼の政策案では、この問題が“混とん”に陥ると言う。オバマは、軍のベテラン指導者たちを自分の陣営に引き込んで、この問題に取りかかるため、準備万端にしなければならないし、そうなりつつある。いずれにしても、イラク情勢がこれからどう転ぶかがポイントになってくる。
2人の考え方の違いがはっきり分かれていて面白いのが、アメリカ嫌いの国々のリーダーたちとどうつきあっていくかという点についてである。イラン大統領やキューバのラウル・カストロ、あるいは、北朝鮮の金正日と前提条件抜きで会って話をする用意ができていると言うのはオバマである。
クリントン時代に国務次官補だったスーザン・ライスは、現在オバマの外交政策ブレーンを務めている。彼女がこう発言している。
「どうしてアメリカが交渉を恐れたり、直接の話し合いを、相手の態度を変化させる手段というより相手へのごほうびだととらえてしまうのか、外交を学んだ者なら誰もが首をかしげるわ。過去8年間のアメリカを見ればわかるように、これは明らかに間違ったやり方なのよ」
おそらく米国民の大半が彼女の意見に賛成するのではないだろうか。事実、“悪の枢軸国”との話し合いを避けようとするブッシュのやり方は、アメリカの外交政策の主流から外れている。
オバマは、共和党が代々交渉を好んできたのだということを有権者に思い起こさせるだけでいい。冷戦時代、アイゼンハワー大統領はフルシチョフとの対談を望んだし、レーガン大統領はゴルバチョフと、ニクソンは中国の毛沢東と話をしているではないか。
キューバについては、フロリダにいる少数派のやかましいキューバ系アメリカ人亡命者たちを除けば、ほとんどの米国民が、カストロ政権のボイコットが終わって、キューバと新たな関係が築けることを望んでいる。
つまり、オバマはこういった切り札を存分に使うべきだし、彼になら、それができるのだ。
核兵器関連では、イランが、アメリカとの間の調停役として日本に目を向けているという1つ興味深い新たな展開が出てきている(2月29日の読売新聞に報じられていた)。これは時間の無駄では決してない。アメリカの主要シンクタンクのいくつかが、このアイデアに関心を持っており、もしかしたら実現の可能性に向けてひそかに動き出すかもしれない。彼らは、日本がテヘランとワシントンの両方から信用のあることを知っているのだ。オバマは大統領にならないかぎり、あるいはなるまでは、この構想について何もできない。けれどもこの種の動きは、彼の共感を得るのではないだろうか。
−ジョージ・パッカード
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