朝青龍の取材で訪れたモンゴルのホジルト。雑音ひとつない大平原に、馬の群れやゲル(遊牧民が住む移動式住居)が点在する風景は圧巻で、澄みきった青い空が、非常にまぶしく感じられた。
ホジルトの街中では、鮮やかなモンゴルの民族衣装を身にまとい、普段の生活をしている人々を目にして、まるでどこかの時代にタイムスリップしたかのようだった。
食事をとりにレストランに入ったが、モンゴル語で表記されたメニューではさっぱり見当がつかず、ドライバーが薦めた料理“ボーズ”を注文した。これは、餃子(ギョーザ)や小龍包(ショウロンポウ)などのように、ひき肉を小麦粉の皮で包み込んで蒸した羊肉料理。“ボーズ”という名は、中華料理の包子(パオズbaozi)に由来するらしく、モンゴルでは、旧正月の時期になると、必ず各家庭で作って食べる定番料理らしい。値段は、1個20円!
見た目は、肉まんのようにふっくらしていて、サイズもほぼ同じぐらい。実際に食べてみると、皮の中から肉汁があふれ出し、小龍包のような感覚で味わうことができ、“うまい”。羊の肉にも塩加減が効いて、あまり臭みを感じない。形が崩れないように、皮、肉汁、そして肉をバランスよく口の中に入れることがおいしく食べるコツだ。この日以来、昼食でレストランを利用するたびに“ボーズ”をオーダーした。
そして、モンゴルで最も苦しんだものが「馬乳酒」。アルコール度数は、1〜3%程度だが、馬乳を原料にした乳白色のお酒で、飲むヨーグルトのようにも見える。実際に飲んでみると、乳酸発酵で作られているので、酸味がかなり強く、強烈な乳臭さで飲みにくい。正直“まずい”。取材で遊牧民のゲルを訪れる度に、丼サイズの器で馬乳酒を出され、人々との輪を考えると残すのは失礼と思ったが、一度も飲み干せなかった。彼らは、肉食中心のため、毎日、野菜代わりに飲んでいるそうだ。
こちらでは、遊牧民たちが、太陽電池を利用して電源を確保し、テレビで日本の相撲を観戦していた。一族が集まって食い入るように相撲観戦するその姿は、まるで昭和初期のような光景でほほえましかった。