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敷田信之
 
各国に取材に出かけると必ず、わたしたちは行った国々で、その土地に根ざした食べ物を探し求めます。それを食べると、その土地の文化が体感できるような気がするからです。そうした食べ物が売られているのは屋台。これに限ります。ディープなほどたまりません! ここでは、そんな「屋台景色」をお伝えします。
 
■人質好みの料理とは
イラクでの日本人拘束、およそ1週間で5人の人質は解放された。解放から帰国までの動きは、一連の報道の通りだが、ヨルダンのアンマンで会見を行った2人が語った一言は、おそらく報道されていないだろう。

「出された食事はどれもおいしいものでした」そう語った瞬間だけ緩んだ2人の顔。つらい思いをした2人の表情をほころばせた食事とはどんなものか? 2人によると、大皿に盛られた香味ごはんにチキンが盛られたものに、毎回、新鮮な野菜がたっぷりついたという。
 
会見の2日後、取材の途中、立ち寄ったイラクレストランで偶然、その料理と出会った。

亭主は、バグダッドから逃れてきたというイラク人で、彼が勧める料理を盛り付けてもらうと、まさに会見で聞いた通りの体裁となった。

薄いハーブの香りが心地よく口に広がるライスにタンドリーチキン、そして日本の家庭でつくるような野菜たっぷりのカレースープ。
そういえば、先に拘束された3人が出発の晩にとった食事もよく似たものだったと聞く。

取材で歩き回った疲れを癒してくれる懐かしい味の料理に、会見で2人の表情が緩んだ意味がわかった気がした。