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神崎 博
 
各国に取材に出かけると必ず、わたしたちは行った国々で、その土地に根ざした食べ物を探し求めます。それを食べると、その土地の文化が体感できるような気がするからです。そうした食べ物が売られているのは屋台。これに限ります。ディープなほどたまりません! ここでは、そんな「屋台景色」をお伝えします。
 
マレーシアの「コピ」
マレーシアでコーヒーを飲む場合は、注意が必要です。まず普通にコーヒー(現地語では「コピ」)を頼むと、グラスの底に練乳がたまった激甘コーヒーが出てきます。これをグリグリかき混ぜて、練乳の甘さをかみしめながら飲みます。混ぜ具合によって甘さが調整できるので、甘すぎないのが好みなら、少しだけ混ぜて飲みます。この加減が難しく、かなりのテクニックが必要です。


そこで、練乳を抜いてもらおうと「コピ・オー(ミルクなし)」とオーダーすると、今度は底にグラニュー糖がたまったコーヒーが出てきます。「コピ・オー・コソン(何もなし)」と頼まなければ、ブラックのコーヒーにはありつけません。でも暑いマレーシアでは、底にたまった練乳をかき混ぜて飲む甘い甘いコーヒーも、なんとなく疲れが取れるような気がして、まんざら悪いものでもありません。

そのコーヒーと一緒にマレー風デザートをオーダー。こちらでは、やはり冷たいデザートが人気です。おすすめは「チェンドル」。ココナッツミルクに小豆、さらに緑色の寒天がトッピングされたカキ氷で、視覚的にも涼しさ満点。こちらでは定番の「もち米」や「とうもろこし」など素敵なトッピングも楽しめます。ジメっとした蒸し暑さのなかで、ココナッツミルクのべタッとした甘さが魅力です。マレーシアにお越しの際には、ぜひご賞味を。




インドネシアの「テボトル」
インドネシアでもっとも人気のある飲み物といえばこの「テボトル」。文字通り、ボトル入りの「テ(英語のティー)」、紅茶のことです。このビンに長めのストローを差して飲みます。グラスに移すのは邪道なようで、「テボトル」だけに、ボトルで楽しむのが粋なようです。

味は、はっきり言ってかなり甘いです。砂糖たっぷりで、日本人では敬遠する人も多いようですが、わたしは、この「甘さ」がクセになりました。取ってつけたようなジャスミンの香りが、さわやかなのどごしを誘います。取材で汗だくになったあと路地裏の屋台で喉を潤すもよし、スパイシーなインドネシア料理とともに飲むもよしで、この風土には、この「甘さ」がピッタリのような気がします。わたしはすっかり、「テボトル」のとりことなり、滞在中は1日に4〜5本も飲んでしまいます。

インドネシア出張の際には、自分への土産として、紙パック入りの「テボトル」(ネーミングに若干の問題がありますが)を抱えて帰ります。で、冷房の効いた自宅で飲むと、なんとなく物足りない気が...。
やっぱり現地の飲み物は、現地で飲むのが一番なようです。




シンガポールの朝食「揚げパン」
シンガポールは、ご存じの通り、国民の3/4以上が中国にルーツを持つ華人なので、当然のことながら中国各地の料理が楽しめます。朝早い取材が数日続いていたある日、中国系マレーシア人の同僚に誘われ、初めて中国式の朝食にトライすることになりました。オーダーは同僚に任せ、何が出てくるかとワクワクしていたところ、豆乳、卵サンドイッチにティーエッグ(お茶でゆでた卵)、ここまでは予想の範囲でしたが、最後にすごく長い「揚げパン」が登場し、ビックリ! 朝から「揚げパン」って...。

一緒に卓を囲んだ同僚2人は、揚げパンをパクパク。こちらも勢いに負けて手をつけましたが、どうも食が進みません。どうやら揚げパンを豆乳に浸して食べるのが、マナーのようです。わたしの遠慮を尻目に、同僚は、2本の巨大揚げパンをあっさり平らげていました。「朝から揚げパンって、普通なの?」と尋ねたところ、「朝は豆乳と揚げパンじゃないと、食べた気がしない」とのこと。日本人にとっての「ご飯とみそ汁」のようなものかもしれません。