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厳戒態勢の台湾取材
アジア各地で猛威を振るうSARS(重症急性呼吸器症候群)感染地域に特定された台湾での取材報告です。

本来なら北京支局のカバーエリアである台湾ですが、北京支局がSARS取材で手が回らず、クアラルンプールから応援取材に行くことになりました。初めて降り立った台北市内はまるで覇気がなく、市民の90%がマスクを着用。そして市内のどこのビル、ホテルに入るのも検温が不可欠という、まさに厳戒態勢下での取材となりました。
取材スタッフは全員マスク着用。もちろん中継やレポートの時も...。それにしても今回の取材で驚いたのは台湾当局が行っている「自宅隔離者監視システム」。5月20日現在、衛生当局が外出禁止を命じている人は台湾全土で 8,000名を超えており、そのうちおよそ3,000人に対し、テレビ電話を使った監視活動が台北近郊のあるビルの一室で行われています。隔離の対象者はSARS感染者に接触したり、38度以上の熱が続いている人で、市内の監視センターでは、オペレーターが1人の隔離者につき、1日2
〜3回の在宅確認作業をテレビ電話を使って行います。センターが何度電話しても隔離者と連絡が取れない場合には、即座に衛生当局と警察が行方を捜すというシステムになっています。SARS感染拡大には隔離という方法が最も効果を上げるといわれています。ただ個人の人権意識が強い日本で、どこまで隔離政策が可能なのか? この方法を日本にそのままあてはめることは大変に難しいといえます。


東ティモールの現状とコーヒー
「暑い!」。ニコラウ・ロバト空港にハードランディングしたムルパティ航空8480便のタラップを降りた瞬間、棘(とげ)のような日差しが降ってきた。 初めて見る東ティモールの空は限りなく青く、そして広かった。独立から1年余り、独立反対勢力によって焼き打ちにあったインドネシア統治時代の建物はいまだ焦げ付いた無残な姿をさらしたままだ。街角には、大量の失業者が力なく宙を見上げている。 わずかに活気があった闇市のような市場で生鮮品を売っていた女性に話を聞いてみた。「インドネシア時代の方がましだったわ」吐き出すように言った彼女の表情に市民生活の現状をかいま見た。東ティモールの人口は約80万人。そのうち4分の1強にあたる人がコーヒー事業にかかわっている。この国の唯一の輸出農産品、コーヒー。無農薬で育った東ティモール産は日本の研究者が行った調査によると「ブルーマウンテン」と同様のうまみがあるという。しかし、現在作られているコーヒーは薄味の特徴がまったくないものだ。なぜか? 今回の取材はそれを調べることが目的だった。 
同行の国立民族学博物館の阿部健一助教授に聞く、「そもそも収穫方法がなっていない。品質は良いのにもったいない」。東ティモールでのコーヒー豆の収穫は熟した赤い実だけでなく青い実までも刈り取ってしまうのだ。これではせっかくの豆も本来の力を発揮できない。そこで方法を変えた。手間がかかっても赤い実だけを採り、徹底的に品質を高めてやる。こうすることで、ブランド力が上がり地元の人も富む。これこそ正の回転だ。ことしから始まったこの試み、コーヒーが製品化されるのは9月、市場の反応が楽しみだ。
東ティモールの名前の由来は元々、地元テトゥン語で「ティモール・ロロサエ」(= 日出ずる国ティモール)。つまりわが日本国と同じなのである。しかし、経済的にはまだ国際協力援助に頼ったまま自立できていないこの国、 新しいコーヒー生産が軌道に乗った時、日は真に昇るのだろう。夜明けとともに響く聖歌がそれを予感させた。