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■タイのクーデター

「ええっ! タイでクーデター?」とビックリした翌日の朝には、バンコク入りしていました。
空港は、われ先に出国しようとする日本人や外国人であふれかえり、大混乱していると思いきや、飛行機は普通に飛んでいるし、旅行者に聞いてみても、「ああっ、朝起きて気づきましたわ」という程度。中には、これからリゾートへ向かう人まで...。「こんなクーデターって、ありなん?」と思いつつ、バンコク市内へ。

主要な交差点には、兵士が銃を持って立っていて、首相府周辺には、戦車も止まっていますが、市民がその前に次々と群がり、記念撮影を始める始末。まるで、新しい観光名所になったかのようでした。
タイでは、国王の権威が絶大で、今回のクーデターを首謀した軍人が国王の了承を得たうえでの行動を起こしたため、「王様がOKなら」と国民も納得、流血のない「静かなクーデター」となったようです。

前首相のタクシン氏は、貧困層に低額で医療が受けられるようにするなど、貧しい地方の農村で人気が高かったとされていましたが、地方に行って話を聞いてみても、聞こえるのは、タクシン氏の悪口ばかり。この国の人の変わり身の早さにもあらためて驚かされました。

 


■バリ島爆弾テロから1年

タイでのクーデター取材を終え、その翌週には、去年10月1日に発生した爆弾テロから1年が経つインドネシアのバリ島へ向かいました。

 

 


1年を経た今でも、日本人観光客の落ち込みは大きく、まだテロの前の7割程度しか回復していません。テロを敬遠するのは日本人だけかと思っていたら、オーストラリア人観光客の落ち込みはもっと激しく、オーストラリア人目当てのディスコやホテルは閑古鳥が鳴いているようです。
その代わりに台湾人観光客が伸びていて、テロをも恐れない台湾人パワーにあらためて敬服してしまいます。

観光の島バリで、観光客の減少は、島の産業にとって大打撃で、島では観光客を呼び戻そうと、5,000人を集めて、島伝統の「ケチャックダンス」イベントを開くことにしました。「チャチャチャ」というかけ声にあわせて、5,000人が両手を挙げて踊る姿はまさに圧巻でした。

テロで夫を亡くした女性を取材しました。夫は爆弾テロがあったカフェで働いていました。当時1歳だったひとり娘は、ことし2歳になりました。亡き夫の写真を見ながら、「パパはまだカフェで働いているんだよね」と娘が話しかけてくると涙ながらに話す女性。テロでかけがえのない命を奪われた遺族にとっては1年経とうが、その悲しみの深さはまったく変わりません。テロリストにとっては「聖なる戦い」かも知れませんが、テロがこうした罪もない多くの人の命を奪っているのが現実なのです。

実はマレーシアをはじめ、イスラム圏では、9月下旬から「ラマダン」と呼ばれる断食が始まりました。イスラム教徒は日の出から日没まで食べ物はおろか、水も飲めません。支局のカメラマンも、日中は唇をカサカサにしながら、ひたすら耐えています。宗教が違うとはいえ、その横でバクバク食事をするのはさすがに遠慮するので、仏教徒のわたしは、別の場所でこっそり食べていました。本当にイスラム教徒には、つらい1カ月となります。