解説委員の眼

反町 理

フジテレビ解説委員長
反町 理そりまち おさむ

報道局でカメラマンやワシントン特派員として取材にあたる。 政治部で首相官邸担当キャップ、デスク、政治部長、政治部編集委員(兼解説委員)を経て、2017年6月から解説委員長。「BSフジLIVE プライムニュース」キャスター

安倍第3次改造内閣の極めて高いハードル

2015/10/13

 安倍第3次改造内閣が発足した。
 安保法制で政治的なエネルギーを消費し、支持率も低下した安倍政権にとって、今回の改造は「場面展開、反転攻勢」の端緒にしたい重要な政治イベントだった。しかし、共同通信の世論調査では、「改造を評価する」が35%、「評価しない」が40%と、やや残念な結果が出た。これに関して、菅官房長官は「人事を刷新して新たにということでなく、やるべきことは決まっている。総選挙で約束したことを着実に実行に移していく。新3本の矢を含めて、実行するために、適材適所で選んだと思う。派手さはないけど、実績を上げて理解を得るようにしたい」と述べた。小泉 進次郎議員は、選挙対策で党に戻したうえで、内閣改造では派手さは求めず、参院選に向けて、着実に実績を積み上げることを狙ったということだろう。

 そうした中、安倍内閣のテーマは、総理自身が演説で述べたように、「経済、経済、経済」となるが、新3本の矢の1本目である「GDP600兆円を目指す」という2020年前後までの政策目標には、内外から多くの疑問が寄せられている。前提として、年間名目成長率3%以上、機関によっては、3.4%が必要との試算が出ているからだ。今の日本の実力を考えると、3.4%成長は手が届くものには見えない。それに関して、菅官房長官は、規制緩和による経済成長への期待を強く示すとともに、2020年のオリンピックによる経済効果に言及した。菅長官は「過去のオリンピックを行ったロンドン等、4カ国の事例を調べた。招致が決定してから、オリンピックの年までに、GDP(国内総生産)が、12〜13%上がっている」と語った。つまり、今の日本のGDPが500兆円だから、オリンピック効果で「黙っていても」560兆円まで経済は拡大するということだ。そうなると、あとは40兆円分を規制緩和や日本経済の自力成長でまかなえばいいということになる。これは、低成長でも十分可能な目標だ。安倍政権はまだ、こうした「オリンピック効果期待」を露骨に表明する姿勢にはなっていない。しかし、もしも、こうした予測を、安倍政権が強調するようになったらどうなるか、それは「オリンピック後の急激な景気減速」への懸念が浮上する引き金になるかもしれない。

 また、景気懸念でいうならば、2017年4月の消費税の10%への引き上げも不安材料だ。それに関して、菅長官は「安倍政権は、経済再生と財政再建、二兎を追って二兎を得る政権だ。今、国と地方で、1,000兆(円)超える借金もあるから、リーマン・ショックのような、不測の事態が起こらないかぎりは、予定通り引き上げるべき」と述べ、3%引き上げがもたらした景気への悪影響をふまえつつも、ブレない姿勢を強調した。そして、財務省の後押しもあって、自民党内に反対意見が根強く、自公政権の火種にもなりつつある「消費税引き上げ時の低所得者対策としての軽減税率の導入」については、「自民党も選挙で約束しているし、公明党との連立合意でも、しっかりとうたわれている。だから、2017年4月の税率引き上げと同時に、軽減税率を導入すべき」と明言した。

 GDP600兆を目標としながら、財政均衡を目指し、軽減税率も導入する。「政局秋の陣」は、安倍政権があらためて極めて高いハードルを自らに課す舞台となった。

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