地球温暖化の影響で永久凍土が解け出し、沈もうとしているロシアの村を取材しました。
2年以上続けて凍結している土壌や地盤のことを指す「永久凍土」は、世界の陸地面積の20%程度を占めるといわれています。
今、地球温暖化の影響から、本来ならば解けないはずの永久凍土が解け出し、ロシア東部にある小さな村が沈もうとしています。
現地を斎藤直人記者が緊急取材しました。
北緯62度、ロシア連邦サハ共和国の首都ヤクーツク。
ここは、1年の大半が0度を下回り、1月の平均気温は-40度以下という極寒の街。
ヤクーツク市内の市場では、冬の間、外で凍った魚を販売するのが風物詩になっている。
かつては、5月になっても自然に凍った魚や肉を屋外で販売できたというが、温暖化の影響が忍び寄っていた。
鮮魚店は「(ことしはいつまでできますか?)4月1日までが精いっぱい」と話し、精肉店は「(温暖化の)影響? あるね。もうそろそろ終わりさ。肉が腐っちまう」と語った。
街を歩くと、すべての建物が、地面との間にすき間を持たせた高床式の建造物であることがわかる。
高床式の秘密は地下にあった。
北極圏の地下には、永久凍土が広がっている。
もしも地表の温度が上昇し、永久凍土が解け出せば、地面が沈み込むことはもちろん、メタンや炭化水素などの温室効果ガスを放出し、さらに温暖化を促進してしまうと考えられている。
高床式の建築は、生活の熱で地表面を暖めて永久凍土を解かすことがないように考えられた防衛策だった。
しかし、こうした人々の対策も、地球規模の気候変動には太刀打ちができず、永久凍土が解け始めていた。
首都ヤクーツクから車で5時間、酪農をなりわいに、およそ1,000人の住民が暮らすシンスク村。
雪で覆われている時期はわかりにくいが、村の中心部には巨大な穴が残っていた。
穴は最大で深さ10数メートル。
実は2007年6月、この小さな村を真っ二つに引き裂くような巨大な地割れが走った。
春の雪解けと2カ月に及ぶ大雨が重なり、永久凍土もろとも地表面が流れ去ってしまったという。
道路など、ライフラインは寸断され、穴は住居や公共施設ギリギリまで迫っていて、住民は村全体がのみ込まれてしまうのではという恐怖におののいている。
住民は「家が沈まないかって心配よ」などと語った。
地盤の沈下で傾いた家屋もあり、床に鉛筆を置くと転がってしまう。
この村に40年以上暮らすタチアナさん。
タチアナさんの家にある永久凍土を利用した天然の冷蔵庫は、穴の出現で泥水につかってしまった。
タチアナさんは「(穴が家の近くまで迫っているが?)もちろん怖いですよ。でもどこにも行けないし、ここがわたしの家だから」と語った。
永久凍土が流出し、巨大な穴が出現したことは、地球規模の問題と密接につながっていると現地の研究者は指摘している。
ロシア科学アカデミーのバラバィエフ博士は「温暖化によって放出された熱がエネルギーとなって海洋に集まり、自然や気候のさまざまな変動を引き起こしているのです」と語った。
極寒のシベリアを揺るがす永久凍土の解凍は、確実に人々の暮らしに影響を与えている。
(05/07 12:52 北海道文化放送)